閃光のように 第9話 |
ルルーシュの作戦は成功した! シンジュク事変での虐殺を親衛隊に押し付けた! 死刑は免れたが無期懲役だ! C.C.とクロヴィスはとりあえず怒りを鎮めた! ついでにクロヴィスの株が上がった! スザクは無事釈放された! やったね! そして解放されたスザクはというと。 「どいてくださ~い」 空から降ってきた女の子を抱きとめました。 ルルーシュが好きそうな柔らかい髪質の可愛い女の子です。 そして強引にデートに誘われました。 オレンジ事件も無ければオレンジ暗殺未遂事件もない為、特に問題もなくデートを楽しんだ後、渋る彼女を政庁まで送り届けると、ずっとストーキングしていた大型トレーラーに近づき、乗りこんだ。 「やっぱり、ロイドさんとセシルさんだったんですか」 「気づいてたんだ~。まあ、気付くよねぇ」 これだけ大きい車だからねぇ。 街中じゃ、目立つよねぇ。 「ええ、まあ」 視界に必ずありましたし。 てっきり彼女の関係かと最初思ったのだが、良く見ると見知った二人で、ああ、迎えに来てくれたのかと思いながらもついデートを楽しんでしまった。 デートって言っても、変な事はしてないよ! 手もつないでないからね、ルルーシュ! これは浮気じゃないから! 僕には君だけだよ! ・・・まあ、再会するまでにはごにょごにょはあったけど。 でもそれは仕方ないよね? 再会前だしね? などと心の中で言い訳しつつ、スザクは後部座席に腰を下ろした。 「スザク君、座席に置いてある包み、君へのプレゼントだよぉ」 「包み?」 みると、後部座席には綺麗な梱包がされた小さな箱が一つ置かれていた。 小さいと言っても掌には余るサイズだ。 「誰からですか?」 こんなものをくれる相手に心当たりはなく、スザクは首をかしげた。 「さあ?バトレー将軍が持ってきたもので、なんでも殿下からお預かりしたっていってたけど?」 「殿下から!?」 「でも、あの様子だと誰かが殿下に預けた物って感じだったかなぁ」 我が君を使うなど・・・見たいな愚痴言ってたしねぇ。 ますます意味が解らなくなったが、まあ開いてみればいいとスザクはさっさと梱包を解いた。 深い緑色のリボンを解き、綺麗な文様の入った緑の包装紙を剥がす。 すると中から白い箱が出てきた。 箱を開けると、そこにあったのは携帯電話。 スザクの瞳の色を連想させるような深く綺麗な翡翠色。 本来名誉であるスザクは所持できない代物だ。 首をかしげながら、携帯の上に置かれていたメッセージカードを手に取る。 そこには手書きの綺麗な文字が並んでいた。 『パスワードは4桁。世界で一番可憐で愛らしく、清楚で御淑やかで、天使といっても過言ではない、柔らかくふわふわで美しい飴色の髪をもつ人物の誕生日』 世界で一番可憐で愛らしく・・・のあたりで想像した人物は一人。 もちろん僕の最愛の嫁ルルーシュ。 だがそれに続くふわふわな飴色・・・つまり天然パーマの茶髪の人物で残念ながら否定された。 僕もふわふわの飴色だけど、その前の文章で否定される。 さて、誰だ。 なんて悩む必要など無い。 こんなことを書く人物は一人。 この条件に合う人物も一人。 相変わらずシスコンだなぁ。 そう思いながら彼の最愛の妹の誕生日を打ち込む。 すると、一通のメッセージが表示された。 『行き先は既に示している。早く来い』 そのメッセージにぶわっと体温が上がるのを感じた。 短いメッセージだけど、君の溢れんばかりの愛を感じるよ! 間違いない、マイスイートハニー、ルルーシュからの愛の籠ったプレゼント! この携帯、僕の瞳の色に合わせてくれたんだね! でも欲を言うなら君の色の物が欲しかったよ! 黒と紫の! ってかクロヴィス殿下、君の居所知ってるの!? こんなもの預けれるぐらい仲いいの!? それとも殿下ってルルーシュ殿下って意味だった!? いやいや、そんな事より確認しなければ! 「ロイドさん、セシルさん、これからどこに行くんですか!?」 スザクは慌てたように運転席と助手席に座る二人に尋ねた。 「アッシュフォード学園だよぉ」 ロイドは振り返ることなくそう答えた。 アッシュフォード学園?ってことは、学校? 予想外の生き先に、スザクは困惑した。 ルルーシュの家じゃないの? でも早く来いって事はそこにいるのかな? どうなのルルーシュ! 「私たちは今後、アッシュフォード学園内で待機するよう命令を頂いています」 「学園内に?」 その言葉に、なんで?という疑問が浮かんだ。 「なんでも、ブリタニアが誇る最新鋭のKMFランスロットのデバイサーの君が教養もない馬鹿だと示しが付かないから、学園に通わせるんだって。で、そこにあるクラブハウスを間借りすることになったんだよぉ」 クロヴィス殿下のご命令でね。 学園内で待機、そしてクラブハウスで実験すれば学園に通いやすいだろうってさ。 「アッシュフォード学園とは交渉済みという話なので、いまそこに向かってる所よ」 学園、学校・・・学生服のルルーシュ。 あれってアッシュフォード学園の制服だったのかな? それはつまり、ルルーシュがそこにいるという事だろうか。 それ以外ないよね? ん?まてまて、ん?あ!そうか! つまり異母兄公認の仲って事でいいんだねルルーシュ! 嬉しいな、君がそこまで積極的だなんて思わなかったよ! もしスザクに犬のようなしっぽがついていたならば、その尻尾はちぎれんばかりにぶんぶんと振られているだろう。 それほどの喜色を浮かべ、スザクは早く早くとセシルをせかした。 |